多くの妊婦さんが心待ちにする安産を願う特別な日、いわゆる戌の日参りは、なるべく吉日に行いたいと願うのが一般的です。
ただし、戌の日がいつも吉日であるわけではありません。
例えば、赤口の日に安産祈願を行うことには悪い縁起を担ぐ意味があるのでしょうか。
ここでは、赤口の日に安産祈願を行うことの意味合いや、戌の日参りに込められた願いや背景を探ってみます。
赤口の日に祈りを捧げても問題ないのか?
六曜において、赤口は不吉な日とされており、結婚式や入籍などの祝い事を避ける日として知られています。
赤口と仏滅は六曜の中でも特に縁起の悪い日とされ、仏滅は一般的には赤口よりも避けられる傾向にあります。しかし、赤口は血や火を想起させるため、人によっては仏滅以上に忌避されることもあります。
一方で、最近は仏滅を「物滅」つまり全てを終わらせて新たなスタートを切る日と捉える考え方も生まれ、「赤口より仏滅」と考える人も増えています。
赤口の日に吉時は存在する?
六曜において吉日を並べると、大安や友引、先勝、先負に続き赤口、そして仏滅の順となります。
赤口は仏滅に比べると縁起が悪いとされますが、その実、赤口にも良い時間帯は存在します。
実際には、赤口の日も午前11時から午後1時にかけては吉の気があるとされています。
そのため、避けられない事情で赤口の日に何かを行う際は、この時間帯を狙えば、比較的良い縁起で事を行うことが可能です。
仏滅にはこのような吉の時間帯が存在せず、一日中凶とされています。
この点から、六曜の中で赤口は仏滅よりも縁起が良いとされる日と言えます。
安産を願う祈りの日選びについて
妊婦が迎える妊娠5ヶ月目に、安産を願って行うべき祈願のタイミングは、その月の初めての戌の日に設定されています。この日程は伝統的に決まっており、安産祈願に最適とされています。
不吉な日に当たった場合の考え方
「もし、その日が赤口や仏滅だったら?」という疑問は自然なものです。しかし、節分やひな祭りなどの年中行事が不吉な日に当たっても、延期されることはありません。これらの行事も本来、悪い気を払うための儀式として行われていたのです。
妊娠中の体調を最優先
妊娠中は体調が変わりやすく、必ずしも妊娠5ヶ月の初戌の日に祈願に行けるとは限りません。体調がすぐれない時は、無理をせず、体調が整ってから安産祈願を行うのが賢明です。
戌の日は約12日ごとに巡ってくるので、ひとつ逃しても次のチャンスがあります。家族のスケジュールが合う日や体調が良い日を選んで祈願に行くのも良いでしょう。
戌の日参りの背景と意味
戌の日参りは、妊娠5ヶ月目に迎える最初の戌の日に安産を願って神社に参拝する習慣です。戌の日は犬を象徴し、犬が多産でありながら安産であることから、安産の守り神として敬われ、祈願する習わしが生まれました。
安産祈願での腹帯
安産祈願では、祈祷の後に初穂料を納め、腹帯という特別な帯を受け取ります。この腹帯は自分で用意する場合もありますし、神社で準備されることもあります。参拝予定の神社について事前に確認しておくことが推奨されます。
安産祈願に適した吉日の選び方
吉日の選択肢
大安
六曜で最良とされる日全体に吉運があるため、安産祈願には多くの方が選ばれる日です。ただし、週末にこの日が重なると、参拝者で賑わうことが予想されるので、人ごみを避けたい方は他の日を選ぶのが賢明です。
一粒万倍日
文字どおり、少しの種が大きな収穫に結びつくという意味を持ち、大安と肩を並べる吉日です。大安と同日になることもあり、月に数回訪れるチャンスがあります。
天赦日
万事が許されるとされるこの日は、一年にわずかながら存在し、行うこと全てに吉とされる日です。安産祈願にも非常に良い日とされています。
母倉日
母性になぞらえて、天がすべての人に温もりを与える日とされています。婚礼などに適した日とされますが、安産祈願にもおすすめです。
天恩日
天からの恩恵があるとされる日で、お祝いごとに最適な日です。
大明日
すべてを明るく照らす日で、どんなことを行っても成功するとされる吉日です。
避けるべき凶日
仏滅
六曜でもっとも避けるべき日とされ、一日中凶とされます。
不成就日
この日に行うことは成就しないとされ、安産祈願には向かない日とされています。この日が大安と重なると、その吉運も影響を受けると言われています。
受死日
葬儀以外では大凶とされ、特に避けるべき日とされています。安産祈願には不向きな日です。
安産を祈る日程の選び方と伝統的な暦の考慮
六曜に関連する多くの起源理論がありますが、実際のところ、神社で執り行われる安産祈願の儀式において六曜は重要な役割を担っているわけではありません。
神社側は、安産祈願を含むどのような参拝においても、吉日や凶日に囚われることなく、参拝者のライフスタイルに合わせた日に足を運んでいただくことを望んでいます。したがって、吉日にこだわって安産祈願を行う必要は必ずしもないとされています。
にも関わらず、日本の伝統においては、長い間、良い日にこだわる文化が根付いています。このため、不吉とされる日に行われる参拝が祈願の成果に不利に働くのではないかと心配する人も少なくありません。しかし、六曜の吉凶が安産祈願の結果に直接的な影響を及ぼすわけではなく、心配性の方は安心のために吉日を選んで参拝することが好ましいとされています。
何よりも優先すべきは、妊娠している女性の健康です。吉日が設定されていたとしても、体調不良の際には無理をせず、体調が許す範囲での参拝を選ぶべきです。
概要
六曜の中で特に凶とされる日、例えば赤口は、伝統的に安産祈願の日として避ける傾向にありますが、神社における儀式では六曜を特に気にすることはありません。
日本では妊娠5ヶ月目の初戌の日に安産祈願を行うのが一般的な習慣とされていますが、何よりも妊婦の体調と家族の都合を考慮し、無理なく参拝できる日を選ぶことが勧められます。