日々私たちが口にする水にも、時には不思議と思える変化が起こります。まさか水も、食品と同じように変質するかもしれないという事実、意外だと感じませんか?
清潔と信じられている日常の水ですが、実はその状態はいつもとは限らないのです。水が変質するという現象は、なかなか想像しにくいかもしれませんね。
今回は、水がなぜ変質するのか、そして純粋な水であっても変質の可能性があるのかを、お話ししましょう。
水が変質すると言われる状況
水が変質していると判断される目安には、次のような特徴があります。
- 水に異臭が感じられる
- 水に濁りが見られる
これらの兆候が見られた場合、水は変質していると考えられます。
水が変質する原因
それでは、水が変質する原因について掘り下げていきましょう。
水が変質する主な原因は、水に含まれる有機物質を微生物が栄養源として利用し、増殖していくことにあります。水中には自然に含まれるミネラルや有機物が存在します。そして、空気中には微生物が無数に浮遊しているのです。
これから水が変質する一連のプロセスを、順を追ってご説明します。
水の自然な変容:清水も変わる可能性
水は生命の源であり、私たちが日々当たり前のように利用していますが、実は微妙な条件下でその性質を変えることがあります。一見、不変に思われる水の品質も、実は変動する可能性があるのです。
一般に清浄とされる水も、その純度が永遠ではないのです。水の質が変わるというのは、思いもよらない話かもしれませんが、実際には起こり得るのです。
以下では、水がなぜ変容するのか、純粋な水であってもその変容は起きるのかについて、詳しく説明していきます。
水の質の変容を示す指標とは?
水の質が変わったと判断するための主な指標には以下のような点が挙げられます。
- 水から異臭がする
- 水が濁って見える
これらの兆候があれば、水の質が変わっている可能性があります。
水の質が変わるメカニズム
では、水の質が変わる原因について深堀りしていきましょう。
水の変容は主に、水中の有機物を栄養として微生物が増殖することに起因します。水は元来、ミネラルや有機物を含んでいますし、大気中には無数の微生物が存在します。
ここから、水の質が変わる一連の過程を順を追って説明します。
水の質が変わるとは?
「水が腐る」という言葉は、実際には水そのものが腐るわけではなく、水中の微生物が繁殖し、飲用に適さなくなる状態を指します。
しかし、そのような水でも、適切に滅菌処理を行えば、有害な微生物を取り除き、再び安全に飲用できるようになります。
純水は変わるのか?
次に、純水が同じように変わる可能性について考えてみましょう。
純水は、ミネラルなどの不純物がほぼ含まれていない水です。水道水とは異なり、純水は自然ではなく人工的に作られるものですので、自然水とは異なることに注意が必要です。
先に述べたように、水の変容の原因は、水中の有機物を栄養として微生物が増殖し、それによって不適切な物質が生成されることです。
純水には微生物の栄養となるミネラルや有機物がほとんど含まれていないため、微生物が増殖しにくく、腐ることはほぼありません。
ただし、純水であっても適切な管理がされていない場合、外部から不純物が混入し、それによって質が変わる可能性は十分にあります。
純水を変わらない状態に保つためには、無菌状態で保存し、外部との接触を遮断する密封状態を維持することが重要です。空気には微生物が含まれており、触れるだけで純水に混入するリスクがあります。
純水を作るにはいくつかの方法
純水を作るにはいくつかの方法がありますが、一般的なプロセスは次のとおりです:
- 蒸留(Distillation):
- 水を加熱して蒸気に変え、その蒸気を冷却して液体に戻すことで不純物を除去します。
- 蒸留装置を用いることが一般的です。
- 逆浸透(Reverse Osmosis, RO):
- 水を高圧で半透膜を通すことで、不純物や塩分を取り除きます。
- 逆浸透フィルターシステムが必要です。
- イオン交換(Deionization):
- イオン交換樹脂を使って水中のイオンを取り除きます。
- これは主にイオンを含んだ不純物を取り除くのに効果的です。
- ろ過(Filtration):
- 炭素フィルターや微粒子フィルターなど、さまざまなフィルターを使用して物理的に不純物を除去します。
純水を手作りで作る場合は、家庭用の蒸留水器を使用するのが手軽であり、実験室レベルではより精密な蒸留装置を使用します。ただし、完全な純水を得るためには、これらの方法を組み合わせて使用することが多いです。
ご自宅で純水を作る目的に応じて、適切な方法と機器を選択することが大切です。
純水と水道水の違いは、含まれる不純物の量と種類にあります。以下に主な違いを挙げますね。
- 不純物の有無:
- 純水: ほとんどまたは全ての不純物が取り除かれた水で、イオン、有機物、微生物などが極めて少ない、またはゼロです。
- 水道水: 人が飲用できるように処理されていますが、ミネラル、塩素、フッ素などの添加物、微量の有機物や微生物が含まれていることがあります。
- 用途:
- 純水は実験室での実験、医薬品製造、電子機器の洗浄など、特定の工業用途や科学的用途に使われます。
- 水道水は飲用、料理、洗濯、入浴など日常生活全般に利用されます。
- 味:
- 純水は不純物がほとんど含まれていないため、味が薄く、時には「フラット」に感じられることがあります。
- 水道水にはミネラルが含まれているため、味に「特徴」があります。地域によって水質が異なるため、味も変わります。
- 処理方法:
- 純水を作るには蒸留、逆浸透、イオン交換などの特別な処理が必要です。
- 水道水は河川や湖などから取水され、ろ過や消毒を経て配水されます。
純水は特定の目的には非常に適していますが、日常的な飲用にはミネラルが含まれていないため、水道水の方が適していると言えます。また、純水を長期間飲用することは体内の電解質バランスに影響を与える可能性があるため、推奨されません。
純水を飲むとどのような効果がありますか?
純水には不純物が含まれていないため、理論的には体内の不純物を取り込むリスクが低いと言う利点がありますが、実際には純水を飲用することは一般的ではありませんし、特段の健康効果があるわけではありません。
純水はミネラルを含んでいないため、以下のような影響が考えられます:
- 電解質の不均衡:
- 体内の電解質バランスを維持するためには、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルが必要です。純水にはこれらが含まれていないため、大量に飲むと体内の電解質バランスが崩れる可能性があります。
- 味の欠如:
- 純水は不純物が取り除かれているため、味が薄く感じることがあります。これは飲用において満足感を得にくいという人もいます。
- 溶解性:
- 純水は溶解性が高いため、体内でミネラルを溶解しやすくする特性があります。これにより、過剰に純水を摂取すると体内のミネラルを洗い流すことにつながる可能性があります。
- 水中毒:
- どんな水でも、極端に大量に摂取すると水中毒(低ナトリウム血症)を引き起こすリスクがありますが、ミネラルが全く含まれていない純水の場合、そのリスクが高まるかもしれません。
一般的に、日常的な飲用水としては、適量のミネラルを含む水道水やミネラルウォーターのほうが推奨されます。純水は特定の産業用途や実験用途に適していますが、日常生活での飲用には適していないとされています。また、健康に関することは個人の体質や状況によって異なるため、専門家の意見を参考にすることが大切です。